2014年8月26日の日経新聞のコラム欄「春秋」で、井上靖の「氷壁」から福島第1原発の吉田所長(当時)の調書公開について触れられていました。
雪煙のなかを落ちていった友が残したものは、切れるはずのないザイルのすり切れたような跡だった。井上靖の「氷壁」は親友の墜死 :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO76155360W4A820C1MM8000/
1955年に前穂高岳で起きたナイロンザイル切断事件を題材にしたのが、井上靖氏の小説「氷壁」。
実際の事故で弟を亡くした登山家石岡繁雄氏が独自に実験を重ねて、ナイロンザイルが鋭利な岩角でこすれると切断されやすいことを突き止め、国を動かし、製造物責任法の制定につながったということです。
強い意志をもって、原因究明にあたったからこそ、それまで知られていなかった事実が判明したことに感心させられます。それを見習い、今回の福島第1原発事故の原因究明をしてほしいというのがコラム筆者の思いであり、私自身も全く同感です。
ちなみに、氷壁は小説だけではなく映像化もされています。
小説「氷壁」と実際に起こったナイロンザイル切断事件については、次のウェブサイトに報告書の内容などが紹介されていました。氷壁はナイロンザイル事件を題材にしながら、登場人物のモデルがいて、主人公魚津恭介は松濤明氏、小坂かおるは松濤氏の知人山田美枝子さんとのこと。お二人のことはサイト上でも紹介されていて、心に迫る内容になっています。
石岡繁雄氏が書いた ナイロンザイル切断事件の書籍も発売されています。